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ルイス・フォンシLuis Fonsi とダディー・ヤンキーDaddy Yankeeによる曲「デスパシート Despacito」が世界的に流行し、次々と新記録を打ち立てています。
先月、Spotifyでのダウンロード数の史上最多記録を作ったかと思えば、先日、ついにYouTubeで30億回の再生回数を突破。YouTube歴代の再生最多記録を更新し続けています。
4月には、ジャスティン・ビーバーが「」というカバーを出し、先週までアメリカのビルボードチャートで12週連続1位となっていました。
デスパシートがここまでヒットした要因は何でしょうか? 流行りものはあまり詳しくないのですが、ラテン国に住む音楽好きとして興味があったので、複数のメキシコ人に訊いてみた結果、以下のような「ヒット要因」が挙がりました。
1、近年の、スペイン語によるラテン・ミュージックの流行
2、レゲトン Reggeatonの流行
3、「ヒット曲」として作られた緻密な計算
4、ジャスティン・ビーバーのカバー
1、スペイン語によるラテン・ミュージックの流行
メキシコ人いわく、「もともとスペイン語曲は来てたからね」。アメリカでは、ジェニファー・ロペス Jennifer Ropezや、リッキー・マーティン Ricky Martin、シャキーラ Shakiraに代表されるスターが、最初は英語で、確実にラテンのリズムをアメリカのミュージックシーンに浸透させました。しかし、重要なのは、彼らがある程度名声を確立させてから、「スペイン語への原点回帰」を果たして、ラテンアメリカのアーティストとのコラボを積極的に実現させていることです。
ジェニファー・ロペスの最新曲「」はキューバ出身のレゲトン歌手ヘンテ・デ・ソナ Gente de Zonaとのコラボで、リッキー・マーティンはコロンビア出身のマルマ Malumaとともに「」でヒットを出したばかり。シャキーラもマルマや、コロンビアの大御所歌手カルロス・ビベス Carlos Vivesや、スペイン出身のアレハンドロ・サンス Alejandoro Sanzなどと組んでいます。
そのうち10曲がスペイン語曲です。シャキーラとアレハンドロ・サンスとの「」は、2005年9月に全米ビルボードチャートの23位となり、この10曲のうちの一つとなりました。
さらにスペイン語曲を受け入れる下地があったのは、ヨーロッパです。ユーロ圏ではすでに10年以上前から、アヴェンチューラ Aventuraやフアネス Juanezといった人たちのスペイン語曲がヒットチャート1位を叩いていました。フランス人のマヌ・チャオ Manu Chaoやドイツ出身のマルケスMarquessがスペイン語で歌う曲も流行りました。
しかし、今回「デスパシート」のヒットに最も貢献したのは、スペイン出身のラテンポップのプリンス、エンリケ・イグレシアス Enrique Iglesiasでしょう。
エンリケ・イグレシアスは、もともとバラード中心の歌手でした。当時から、甘いマスクにセクシーなスペイン語がファンを熱狂させていましたが、ヘンテ・デ・ソナやウィシン Wisin、ニッキー・ハムNicky Jamといったレゲトン歌手と組みだしてからは、「」(2014年)、「」(2015年)、「」(2016年)、「」(2017)とたてつづけにヒット曲を出し、もはやヨーロッパのミュージックシーンには欠かせない存在となりました。
ヨーロッパのヒットチャートに慣れた人なら、「デスパシート」がどれだけエンリケ・イグレシアスの曲に似ているか、すぐにわかると思います。ロマンチックな(ハードでない)レゲトン、マイナーコード、甘いスペイン語。実際、出だしを聴いただけで「また、エンリケ・イグレシアスの新曲が出たのか」と思わせるほど、本当に似ています。
「スペイン語の歌=セクシー・踊れる」というのが完全にしみついているヨーロッパの聴衆にとって、デスパシートはもはやその強化版でしかありませんでした(ちなみに、ユーロ圏で今なおチャート1位にいるデスパシートは、ジャスティン・ビーバー版ではなくて、オリジナル版です)。
を見ていると、特にスペイン語曲の受容については、アメリカはヨーロッパより10年ほど遅れて後追いをしているような感じを受けます。スペイン語曲はこれからも、全世界的記録を作っていくのではないかと想像させます。
2、レゲトンの流行
「ラテン・ミュージックはみんな同じ!」と思っていませんか? 実際は、ラテンのポピュラー・ミュージックでも、「サルサ Salsa」「メレンゲ Merengue 」「クンビア Cumbia」「バチャータ Bachata」「レゲトン Reggeaton」のようにカテゴリー分けをすることができ、それぞれ出自も音楽も全然違います(歴史をさかのぼればソン・ダンソン・トローバ・レゲエ・ルンバ・マンボなど無数にあります)。ポップ寄りの音楽でも、「バラード Ballad」「ロマンティカ Romantica」「ラテンポップ Latin Pop」など、いろいろな言い方をされます。
サルサはキューバやプエルトリコが発祥です。ラテン圏以外では、ジェニファー・ロペスの元夫としても有名なプエルトリコ系アメリカ人のマーク・アンソニー Marc Anthonyが、一貫してサルサを歌っていました(日本のオルケスタ・デ・ラ・ルス Orquesta de la Luzも有名ですね。メキシコで日本人というと、今なお「オルケスタ・デ・ラ・ルスを知ってるか?」と訊かれます)。メレンゲはドミニカ共和国とベネズエラを発祥とします。リッキー・マーティンが英語をやめてスペイン語曲でリリースした曲は、「」、「」、「」など、ほとんどすべてメレンゲです。
バチャータはドミニカ共和国発祥の、メレンゲよりさらに大衆的な曲です。バチャータはアメリカではまだトップに躍り出るほどではないですが、特にヨーロッパで好まれていて、アヴェンチューラやエクストレーム Xtremeといったグループはすでに名声を得ています。シャキーラとバチャータ歌手プリンス・ロイス Prince Royceがコラボして今年出した「」も、完全なバチャータです。今後アメリカでも流行るかもしれません。
さて、「デスパシート」はレゲトンの系譜になります。レゲトンはレゲエと見た目は似ていますが、音楽的にはまったく違います。レゲトンは80年代から90年代にプエルトリコで生みだされ、サルサやメレンゲなどと比べるとかなり新しい音楽です。
ここ、メキシコでのレゲトンのイメージは、「大衆的」「若い人が聴く(踊る)」「セクシー(すぎて下品)」というところでしょうか。たいていの良心的な親は、レゲトンというと顔をしかめます。「歌詞が下品」「子どもに
は聞かせたくない」「踊り方が卑猥」「退廃的」というのが理由です。
実は「デスパシートを聴いたことがある?」とメキシコ人に切りだしたとき、ほとんどの人から「もちろん。でも大嫌い」という反応が返ってきました。「飽きた」「ラジオでかかりすぎて食傷気味」「レゲトンは嫌い」「歌詞が直接的すぎる」だからだそうです。あるお母さんは「子どもが真似して歌いだしたから、あわてて止めさせたわ。まったく早く廃れてくれないかしら」と怒り心頭でした。
なぜこんなに悪名高いのかというと、少し以前にヒットしていたレゲトンが、かなりハードコアな(?)レゲトンだったからです。ダディ・ヤンキーが2004~2005年に出した「 」「」「」は、アメリカで爆発的な人気を博し、いずれもビルボード12位~32位になりましたが、この3曲はいずれも、レゲトン・レゲトンした正統レゲトンです。
ラテンのママたちは眉をひそめても、ダディ・ヤンキーは確実にレゲトン・ファンを世界に作っていきました。そしてついに、それまでバラードやポップなどを歌ってきた歌手たちも、この世界的な波にのるようになりました。エンリケ・イグレシアスのヒット曲はすべてレゲトンがベースですし、エレクトロニカに走っていたジェニファー・ロペスも方向転換してレゲトンを出し始め、リッキー・マーティンもメレンゲをはずれてレゲトンベースで歌いはじめています。それは、ピットブル Pitbullや、ヘンテ・デ・ソナやマルマなど、もともとラテンシーンで活躍していたレゲトン歌手とのコラボによって可能になったものです。
ポップやバラードと合体したレゲトンは、以前のようなとげとげしいレゲトンではなく、かなりソフトで聴きやすいものになり、新しいファン層を増やしました。ラテンママはまだいい顔はしませんが、以前のレゲトンよりは許容するようになってきました。「レゲトンを取り入れれば必ず流行る」が、ここ数年のミュージック・シーンのお決まりになっていたといっていいでしょう。
「デスパシート」のルイス・フォンシもまた、プエルトリコ出身のバラード歌手の一人でした。ここまできたら、彼がダディ・ヤンキーと組んで出したレゲトンベースのラテンポップ「デスパシート」が、流行ったのは当たり前だといえるでしょう。すべては完璧に時流に乗っていたのです。
3、「ヒット曲」として作られた緻密な計算
「デスパシート」を聴いたメキシコ人が必ず口にしたのは、「ほんと、よく出来た曲だよ」ということです。
「歌詞がキャッチー」「覚えやすいスペイン語」「誰もが一度はデ・ス・パ・シ・ーーートと口ずさみたくなる」「子どもでもすぐ真似する」「中毒性がある」「ノレる、踊れる」といったところです。ネイティブの人からみたら、「デスパシート」のスペイン語はかなり初級で、はっきりゆっくり発音されています。
さらに「パシート・ア・パシート、スアベスアベシート・・・ポキート・ア・ポキート」など、繰り返しの単語が多く、わかりやすい韻の踏み方も特徴的です。
音楽的には、数々のラテン・ポップやレゲトンを聴いていた人にとっては、新しい要素はなにもありません。すべての構成が「どこかで聴いたようなかんじ」で、「いかにもどこにでもありそうな曲」です。
ルイス・フォンシはもともと抒情的な歌い方に定評のあるテクニカルな歌手で、ダディ・ヤンキーはアメリカでヒットソングを作りだすプロ。もっと音楽的に冒険しようと思えばできる2人が、あえてやさしめに、でも遊び心満載で作った曲が「デスパシート」だというのが大方の意見です(例えるなら、本場のサンバ歌手が、全力で「マツケンサンバ」を歌っているようなもの??)
わかりやすい曲を全力でやったのは、もちろん勝ちにいくためのなみなみならぬ意気込みがあったからです。外国人にもわかりやすく、耳にのこり、子どもも飛びつくように。「この曲でヒットを取りに行く」。そんな意図が歌詞から透けてみえます。
結果は大当たり。この曲からはじまって、他のラテン・ミュージックもどんどん聴かれるようになるといいですね。ラテンの音楽的なポテンシャルは、まだまだ深いですから。
4、ジャスティン・ビーバーのカバー
アメリカのチャートで12週連続1位になったのは、間違いなくジャスティン・ビーバーのおかげです。冒頭からジャスティンが英語で、途中からルイス・フォンシがスペイン語で歌うため、英語圏のファンにもよりわかりやすくなりましたし、世界中の歌い手さんがYoutube上でカバーしやすくなりました。
オリジナルとジャスティンバージョンを聴き比べて思うのは、オリジナルはとことんトロピカルな明るい歌い方をしていますが、ジャスティンの歌い方には少し哀しげでPainfulなトーンがあることです。ジャスティンの解釈なのか、曲がマイナー調なのでそれに合わせたのかわかりませんが、「デスパシート」の歌詞とあいまって、なんだか考えさせられます。
詳しく引用しませんが、「デスパシート」の歌詞は一言でいえば「男性が女性に一目ぼれしてワンナイト・スタンド(一夜限りのセックス)にもちこもうと全力で誘っている」といったところです。もっとロマンチックな解釈が好みならそれでもよいですが、文字だけ素直にとれば「君とデスパシートに(ゆっくり時間をかけて)ワンナイトしたい」でしょう。
こういう欲望を、まったく悪びれることなく明るさ全開で歌うのがラテンの特徴で、非ラテンの人はそこに魅力を感じたりするわけですが、ジャスティンのどこかトラウマを抱えたような声は、また少し違った解釈を感じさせます。「本当は一夜限りではない、永遠の愛を求めたいけれど、僕には(傷があって)まだその準備ができていない。だから、このワンナイトを命をかけて、永遠のものにしたいんだ・・・」みたいな。
ちょっと、深読みしすぎでしょうか? でも、セックスを素直に快楽としてとらえているのがルイス・フォンシ、傷としてとらえるのがジャスティンだとしたら、なんだか心理学的にも、面白い文化考察ができそうです。
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とんだ勘違いしてましたね😅
ロペス選手は大切な
選手です。
1日でも長くいて欲しいです。
今週末の広島戦は土日連続浜スタ参戦。負けられない戦いだ。観戦の気合いの入れ方も違う。その前の阪神戦次第だが。